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「開発した書道療法の未来 
 ─『双鈎填墨』の適応から得られる効果と可能性─」

                       福永 久美子(和みを育む書心室)
                       今田 雄三(鳴門教育大学大学院教授)

今回のワークショップでは、これまで開発を試みてきた【書道療法】で考案した書道体験をしていただけるという、またとない機会が得られました。

これまでは、個人を対象にした心理療法的な書道体験やその継続が主であり、適応範囲の拡大の観点から5~6名のグループでの対応はありましたが、30人もの方々に集団で体験してもらうのは初めての試みでした。

また、書道体験では書道が苦手な方や、馴染めない方々がほとんどであることが予想され、準備段階では、未知なことへの不安の方が先行していました。

しかし当日は、プロトコルの一つ一つに実に真剣に取り組んでいただきました。

書道体験中では、一枚一枚の作品に真剣に取り組む静寂な空気と沈黙の時間の流れに同行し、途中から少し不安を抱いた私でしたが、体験を終えた直後では、体験者の多くの方々の快活な笑顔と前向きに捉えていただけた感想を伝えていただき、逆に私の方も力を得ることが出来たのです。

それでは、当日の流れを簡単に振り返ってみます。

先ず、パワーポイント資料を基に、書道の基本についてと書道の独自性を紹介しました。その後、書道療法への先入観を避ける意味もあり、すぐに書道体験に移りました。

今回のワークショップでは、90分の時間が割り当てられていたので、計3セッションからなる書道療法体験を全体験していただくことはできませんでした。そこで、セッション1の「形の模倣体験」(約50分)のみを行いました。因みにセッション2は「動きの模倣体験」(約50分)、セッション3は「シェアリング」になります。

書道療法体験は、これまでに考案しました独自のプロトコルの一端を体験していただくというものでした。それは、書の「基本」を組み入れた書道の①『臨書』(手本を真似る)体験を基盤に、体験過程に②【双鈎填墨】(中国「唐代」の書の複製技法)を導入し、統合から解放に向かう本質的な書道体験(白抜き〈籠字〉の手本の輪郭の中を筆で辿り追体験を行う)を提供するというものです。なお、作品からその経緯を対象者と共有できることから、互いの信頼関係が構築されていく手応えと安全性は、これまでの事例から得られています。

当日は、こちらからの教示に真摯に取り組まれ、②『大海』の手本の追体験を行っていただき、各自の唯一無二の表現である6枚の作品が残されました。

その後、パワーポイント資料を基に、「書道療法」の解説を行い、開発の経緯を振り返り、適応範囲を拡大し、これまでの事例より得られた「双鈎填墨」の効果と可能性について話をさせていただき、書道療法の未来についての展望にも触れました。

日本の伝統文化であり視覚芸術である書道を理解していただき、心理療法と連携させていくための工夫の経緯を伝えるのは容易ではありません。手本の模倣による追体験により、葛藤から達成感への経緯を実感していただくのが一番の近道なのです。今回の貴重な機会を得、前向きに取り組んでいただきました皆様の、唯一無二の残された作品と感想文より、私自身貴重な体験を積ませていただき、書道療法の未来への新たな確信を得ることができました。

今後、機会がありましたら、今回体験していただきましたセッション1の『形』の追体験と連動して教示を工夫し、作成していますセッション2の『動き』の追体験もしていただければとの思いが湧き上がってきております。

文中の書道の①『臨書』と②『双鈎填墨』と、今回使用しました②『手本』につきましては、図①・図②を参考にして下さい。

双鉤塡墨図.001.jpeg
双鉤塡墨図.002.jpeg

 

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