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「日本のコミュニティ音楽療法を考える〜熊本からの報告」(2025.9.14.)発表を振り返って
                    木村 博子(熊本コミュニティ音楽療法研究会)

 「コミュニティ音楽療法 Community Music Therapy(CoMT)」は、1980年代に欧州で始まった音楽療法で、「個人」ではなく、「コミュニティ」を対象とする音楽療法である。CoMTは現在世界中で実践されているが、当該コミュニティの性質や文化に大きく影響される。欧州で発展したCoMTは、日本文化の中でどのような形になっていくことが望ましいのか。今回の発表では、熊本県における事例をもとに、現代日本のコミュニティ音楽療法のあり方について考えたいと思った。

 登壇した音楽療法士たちは、普段は様々な現場で音楽療法を実践しているが、今回は「コミュニティ音楽療法」という視点から、それらの社会的意味についてあらためて考察してもらった。以下はその概略である :

1.  おおつかの郷コミュニティ音楽療法 / カロリーカフェコミュニティ音楽療法
  立山 真由美(医療法人田中会 介護老人保健施設おおつかの郷 音楽療法士/
        ライフサポート室長)

施設という、地域内にありながら、特別視されがちな存在をどのように地域に溶け込ませていくか、また施設内の専門職コミュニティをどのように構築していくか、という課題に対して音楽療法がどう作用したか、についての考察。
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2.  CoMT 的アプローチを用いた地域での障害児支援
  遠山 沙希(精神科特化訪問看護ステーション Cruto ココロ光の森)

障害児のピアノ指導について、従来の音楽教育観を越えた療法的取り組みを行うことにより、児童とその周囲の人間がどう変わったか、また学校との連携など、周辺理解の拡大に向けてどのような社会的取り組みが可能かについて考察。
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3.  子飼コミュニティ音楽療法
  木村 博子(熊本コミュニティ音楽療法研究会)

在宅高齢者のウェルビーイングの向上と横のつながりの確保、そしてその文化的リソースの社会的還元のために音楽がどう関与し得るか。
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4.  熊本復興支援プログラム 『ふれ愛音楽お届け隊』がおくる音楽交流会(音楽支援)
  池田 憲治(介護老人保健施設フォレスト熊本 アクティビティ推進室⻑)

熊本地震における音楽支援のあり方について、被災者/支援者としての立場から、どのような支援が真に必要なのか、また刻々と変化する被災地の状況と人間関係の間で、音楽療法士がなし得たことは何かについて考察。

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5.  水俣市における音楽療法
  小林 真寿子(平成音楽大学講師)・駒田 理美子(みなまた音楽療法研究会代表)

水俣病によって分断された地域の中で、30年にわたり続けられた音楽療法の軌跡と、音楽だからこそできた住民間の絆の再生(“もやい直し”)について振り返り、行政との連携についても論じる。
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 登壇者たちには、短い持ち時間の中で、割愛せざるを得なかった部分や発表後に感じた思い、また参加者の方々から頂いたご意見やご感想への回答も交えて、以下に自由に論じてもらった。少し長くなるが、ご一読いただければ幸いである。

 CoMTは社会を変えていこうとするものではあるが、一つの試みが変えられる範囲は小さい。しかしいくつかがつながる、あるいは同時に起こることによって、より大きなうねりを作っていくことができる。また、CoMTはそのオープンな性格によって、他の芸術療法を繋ぐハブともなり得る。CoMTに決まった型はなく、「コミュニティ」の捉え方も単に地域にとどまらず多岐にわたる。その目的はただ一つ、声を上げられない人たちの声に耳を傾け、誰でもが生きやすい社会を作っていくことだ。音楽は魂を救う。その原点を忘れずに活動していきたい。

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